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こどもの便秘

 こどもの便秘症は週に2回以下の排便もしくは便秘によって痛み、おなかの張り、腹部不快感、不安また排便する際の痛みや出血を認めるときとされています。ひたらく言うと、排便に関して困り事がある状態です。一般的な1歳までの平均排便回数は2-3回/日、1-3歳では1.5回/日、3歳以上では1回/日とされています。

 頻度は小学生で10-20%、女子高生で30%とも言われています。起こりやすい時期は①母乳からミルクへ変更するときや離乳食開始時、②幼児期のトイレトレーニング中、③小学校進学や学校でのトレイ回避の3つが有名です。5歳以上の便秘のこども達の約1/4は成人になっても便秘が持続する報告もあり、早期に適切な対応が求められています。

 便秘のメカニズムは、便が、大腸に長時間停滞すると水分が吸収され便は硬くなり太くなったりします。太く硬い便を排泄すると排便痛や肛門裂傷を生じます。このため、こども達は排便を嫌がるようになり、便の停滞時間がさらに長くなります。このことが水分の再吸収を助長し、更に硬い便が貯留し、悪循環が繰り返されます。常に大腸内に便が貯留すると、大腸は拡張し腸壁の進展刺激に対する感受性が鈍くなり便意が消失します。すると大腸内にはさらに多量の便が長時間停留することとなり、大腸の拡張が悪化します。大腸が拡張してしまうと治療が長期化することがあります。

 当院では詳しい問診、診察、検査(レントゲンあるいはエコー)にて便秘の診断を行っています。

こどもの便秘治療は苦痛を伴わない排便が週に3回以上あり、排便に関する困った症状がなく、本人・家族がストレスのない生活を送れる状況が持続することです。

 治療のはじめは便が多量に貯留している状態か否かの確認です。便が多量にある場合はまずその除去を飲み薬(粉薬、シロップ、水に溶かして使用する薬)、おしりからの治療(座薬や浣腸)、あるいは両者の組み合わせで行います。この治療がきちんと終わらないと次に行う維持治療の効果は限定的になります。便秘治療がうまくいっていない人の大半は、便貯留を最初に解除できていないためです。当院では経口浸透圧性下剤を内服することを基本とし、以下の治療法を組み合わせて治療を行います。①週に3回程度来院していただき、院内で浣腸を行う方法、②自宅で浣腸を行う方法、③自宅で座薬を投与する方法です。ご家族の都合や本人の嫌がり方もありますので、相談しながら決定しています。また、うまくいかないときは再診して頂き、次の方法を考えます。

 次に維持治療に移ります。治療の柱は①生活・排便習慣の見直し、②食事療法、③薬物療法です。

 まずは生活・排便習慣の見直しを行います。トイレに行く時間を確保するためにも夜更かしや寝坊は避けることが重要です。便意を感じた時は排便を我慢せずにトイレに行くように促します。また、食後ゆとりのある時間帯にトイレに座る習慣をつけることも試してみます。注意が必要なことは幼児期はトイレトレーニングが便秘を悪化させることがあるため、便秘治療により規則的な排便習慣が確立してからトイレトレーニングを開始したほうがよい場合があります。さらに、排便回数や服薬状況を記録に残すと治療意欲が向上することが知られています。

 食事療法では適量の水分摂取が勧められます。参考までにこども達の食事と飲水による必要な1日水分量は、乳児であれば体重1kgにつき120-150ml、幼児であれば体重1kgにつき90-100ml、学童であれば体重1kgにつき80mlとされています。ヨーグルトや乳製品の摂取は全員ではありませんが、効果がある可能性があります。食物繊維の摂取も効果がある場合があります。成人であれば食物繊維は1日に30gが目安で、年長児であれば15-20gが目標となります。

 薬物療法では①浸透圧性下剤、②刺激性下剤をメインで使用します。時に整腸剤、腸管運動賦活薬、漢方を用いることもあります。当院では基本的に浸透圧性下剤を使用し、一部の方に刺激性下剤を用いて治療を行います。浸透圧性下剤の基本的なメカニズムは水分を大腸に吸収されずに便まで確実に届けることです。

 浸透圧性下剤は2歳未満であれば、ラクツロースシロップやカマグを使用することが多いです。2歳以上ではモビコール配合内用剤を当院では多く使用します。モビコールは1包あたり60ccの液体とともに内服します。溶かした後すぐに服用できない場合は冷蔵庫で保管ください。また、数回に分けて服用しても問題ないですが、その日に飲み切ることを心掛けてください。モビコールの飲み合わせの良い飲み物はリンゴジュース、オレンジジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、ミルクココア、コーンスープ、お味噌汁、牛乳などです。塩味を感じるため、飲み合わせがよくない飲み物は水、お茶、紅茶(ストレート)、コーヒー(ブラック)です。浸透圧性下剤の服薬で注意することは服薬量の調整を医師とともに行うことと、便が軟らかくなりすぎた際に服薬量減量や休止日を設けることです。治療効果が感じられる頃は2週間を経過した頃で、4週間経過するとその効果が十分に発揮されます。4週間経過しても効果が感じられない場合は、治療法の見直しを行います。

  治療は便の再貯留と排便を我慢する行為の再燃を防ぐため、排便困難がなく規則的な排便習慣が得られた状態で、少なくとも数カ月は薬物治療を継続する必要があります。その後、投薬の減量または中止を検討しますが、治療薬の減量・中止が早すぎると再発しやすいため、徐々に減量することが大切です。幼児では、排便時の痛みに対する恐怖が解消しない限りトイレトレーニングは順調に進まないことが多いです。そのため、トイレトレーニングが完了するまで治療を継続することが大切です。薬物治療開始から6か月以内に規則正しい排便習慣が得られるお子さんは約50%と言われています。2年以内に薬物治療を完全に中止できるお子さんは約50%であり、約25%では思春期になっても薬物療法を必要とするとされています。また、一旦治療が成功しても5年以内に約半数のお子さんで1回は再発するため、必要応じて医療者と相談しながら、治療を行っていくことが重要です。

 便秘に悩むこどもや親御さんは非常に多く、当院では適切な治療を提案しますので、お気軽に相談くださいませ。

 

 

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