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乳児血管腫(いちご状血管腫)

 乳児血管腫は、新生児期から乳児早期に発生する「赤あざ」の一種で、新生児に最も多くみられる良性の腫瘍です。有症率は1.7%と報告されています。男女比は1:3~9と女児に多いとされています。皮膚だけでなく内臓を含め全身のいずれにも発生しますが、最も多い発生部位は頭頚部で、全体の60%を占め、次に体幹25%、四肢15%と言われています。

 乳児血管腫の自然経過は、増殖期、退縮期、消失期に分けられます。出生時は存在しないまたは小さな病変のみ存在しますが、生後2週間程度で赤あざが顕在化し、生後5.5-7.5週で急速に増大して、生後5か月頃までにピーク時の80%の大きさに達します。増殖のピークを過ぎると赤あざは自然退縮し、消失の年齢(中央値)は3歳頃です。未治療の場合では25-69%の方に後遺症(皮膚萎縮、繊維脂肪組織、瘢痕、毛細血管拡張など)が残ることあります。(軽症の後遺症を含めると25-92.9%)

 乳児血管腫において、機能障害や潰瘍・出血・感染、または将来的にも整容的な問題を惹起する可能性のある病変では、早期に治療を検討・開始する必要があります。そのような可能性がなければ、そのまま経過を見ることもあります。治療法は従来ではレーザー治療が行われることが多かったですが、2016年よりヘマンジオールシロップの登場により、治療の流れが変わりました。

 ヘマンジオールシロップは1960年ころより不整脈や高血圧の治療に用いられたお薬です。心臓病と乳児血管腫のあるお子さんに心臓病の治療として使用したところ、乳児血管腫が治ったことをきっかけに、乳児血管腫の治療に使用されるようになりました。その後も多くの患者さんに使用され、その効果が実証されています。

 ヘマンジオールシロップを上手に使用するためには内服前の心臓の状態等を調べ、お薬の注意点、内服方法をよく理解して使用してもらうことが大切です。治療導入時に入院して治療を開始する施設もありますが、当院では外来にて乳児血管腫の治療を行っております。気になる方はお気軽に相談下さい。

   ヘマンジオールシロップは1日2回内服する薬剤で9時間以上間隔をあけて内服します。内服量は3段階に分けられ、少量から開始しながら、効果と副作用を確認しながら増量します。本剤の注意点は、心臓機能に影響を与えるほか、気管支喘息および低血糖を誘発する可能性があることです。よって咳と「ゼーゼー」がある際は医療機関を受診すること、過量投与の恐れのあるので飲みなおしは行わないこと、内服は空腹時ではなく、授乳後や食事後に行うこと、嘔吐下痢時は本剤を内服しないことに注意して下さい。

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