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整形外科コラム
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2021.11.04

首が痛い症状でお悩みの方へ

首の痛みが悪化すると、首を動かせない、張りを感じるなど、慢性的な痛みに悩まれている方も多いと思います。

このページでは、首に痛みが現れる代表的な病気である「頸椎椎間板ヘルニア」、「後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症」、「頸椎捻挫」、「頚椎症性脊髄症」の紹介をします。当院では、療法士によるリハビリテーション及び普段の生活や薬の服薬に関する適切なアドバイスにより、症状改善を図ります。

頸椎椎間板ヘルニア

病態・原因

背骨をつなぐクッションの役割をしている椎間板が主に加齢変化により後方に飛び出すことによって起こります。30~50歳代に多く、しばしば誘因なく発症します。悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。

症状

首や肩、腕に痛みやしびれが出たり、箸が使いにくくなったり、ボタンがかけづらくなったりします。
また、足のもつれ、歩行障害が出ることもあります。

検査

頸椎を後方や斜め後方へそらせると腕や手に痛み、しびれが出現(増強)します。
その他、手足の感覚や力が弱いこと、手足の腱反射の異常などで診断します。

MRIで神経根や脊髄の圧迫を確認し診断を確定します。

予防・治療

痛みが強い時期には、首の安静保持を心掛け、頸椎カラー装具を用いることもあります。また、鎮痛消炎剤の服用や、神経ブロックなどで痛みをやわらげます。
症状に応じて牽引療法を行ったり、運動療法を行ったりすることもあります。

これらの方法で症状の改善がなく、上肢・下肢の筋力の低下が持続する場合、歩行障害・排尿障害などを伴う場合は手術的治療を選択することもあります。

後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症

病態・原因

背骨の骨と骨の間は靭帯で補強されています。椎体と呼ばれる四角い骨の背中側で脊髄の前側には後縦靭帯が、椎弓と呼ばれる背中側の骨の前側で脊髄の背中側には黄色靭帯という靭帯が存在し、それぞれの骨に適度な動きと安定性をもたらしています。

後縦靭帯は脊髄の前方に位置し、黄色靭帯は脊髄の後方に位置するため、それぞれの靭帯が分厚くなって骨のように硬くなってしまうと脊髄が圧迫されて下記のような症状(脊髄症状)が出現してきます。前者は後縦靭帯骨化症と言い頚椎に多い病気で、胸椎にも出現します。後者は黄色靭帯骨化症と言い逆に胸椎に多い病気です。

症状

この病気になると背骨の動きが悪くなり、体が硬い、背筋にこりや痛みを生じることがあります。しかし、このような症状は病気でなくても起こりますので、この症状だけでは病気かどうかの判断はできません。
注意が必要な症状は、神経(主に脊髄)が圧迫され神経の働きが低下して起こる、以下の脊髄症状です。

こんな症状ありませんか?

  • 手足のしびれ感(ビリビリ、ジンジンしたり感覚が鈍くなる)
  • 手指の細かい運動がぎこちなくなり、しづらくなります(箸がうまく使えない、ボタンの掛け外しがうまくできない)
  • 足がつっぱってつまずきやすい。
  • 階段を上り下りが困難などの歩行障害

黄色靭帯骨化症でも同様の症状が出現しますが、骨化してくる部位が胸椎に多いので、その場合は足の症状だけで手の症状は出現してきません。

検査

頚椎に多い後縦靭帯骨化症は通常のレントゲン検査で見つけることができますが、胸椎に多い黄色靭帯骨化症は通常のX線検査では診断が困難なことが多いです。
通常のX線検査で診断が困難なときは、CTやMRIなどの精査が必要になってきます。CTは骨化の範囲や大きさを判断するのに有用で、MRIは脊髄の圧迫程度を判断するのに有用です。

予防・治療

この病気を完全に予防することはできませんが、症状の悪化を防ぐためには日常生活で以下の点に注意してください。頚椎後縦靭帯骨化症では、首を後ろに反らせすぎないこと、仕事や遊び、泥酔などにより転倒・転落することで脊髄症状が出現したり悪化したりすることがあり、くれぐれも注意が必要です。
前述のような脊髄症状のため日常生活に支障があり、画像上脊髄にある程度の圧迫があれば手術が必要です。頚椎の後縦靭帯骨化症に対する手術法には、首の前を切開する前方法と後ろ側を切開する後方法があり、各々に長所と短所が存在します。胸椎の黄色靭帯骨化症に対しては、背中側の椎弓を切除(あるいは形成)することにより脊髄の圧迫を解除する手術法が一般的です。

頸椎捻挫

原因・病態

いわゆる「むち打ち」と呼ばれ、交通事故やスポーツ事故などで頸部に不意に衝撃を受け、頸椎周囲の筋肉、靭帯、神経や血管などの組織に損傷を受けた状態を言います。

症状

首の痛みなどのほか、ひどい時には頭痛、肩こり、吐き気、めまいなどがみられます。頸椎捻挫の多くは軽い症状にとどまることが多いですが、重症例では、交感神経や筋肉の異常な緊張により、腰が重い、肩こり、目が疲れる、だるいなどの症状がみられ、長期間悩まされることもあります。

診断

レントゲン・MRIとも年齢に応じた変性変化を認めますが、外傷との関係はありません。骨折や脱臼がないことは確認が必要です。
頚椎症による骨棘があると、MRIでは椎間板の後方への膨隆に見えるため、誤って「椎間板ヘルニア」と誤って診断される場合もあります。

予防・治療

骨折や脱臼がなければ、受傷後2-4週間の安静の後は頚椎を動かすことが痛みの長期化の予防となります。安静期間はできるだけ短い方がよいでしょう。慢性期には安静や生活制限は行わず、ストレッチを中心とした体操をしっかり行うことが最良の治療となります。

頚椎症性脊髄症

病態・原因

加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、頚椎の脊柱管(骨の孔)の中にある脊髄が圧迫されて症状が出ます。日本人は脊柱管の大きさが欧米人に比較して小さく、「脊髄症」の症状が生じやすくなっています。

症状

ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になったり、歩行で脚がもつれるような感じや階段で手すりを持つようになったりという症状が出ます。手足のしびれも出てきます。比較的若年の方であれば、かけ足やケンケンをしにくくなるなどの軽度の症状を自覚できますが、高齢者では気づくのが遅れる場合があります。

診断

症状と四肢の反射の亢進などの診察所見があり、レントゲン所見で頚椎症性変化を認め、MRIで脊髄の圧迫を認めることで診断します。
中年以降ではレントゲンでの頚椎症性変化はほとんどの人に見られますし、MRIでの脊髄圧迫所見も症状がない場合でも見られますので、検査所見だけで診断することはできません。

神経内科の病気の一部は症状がよく似ている場合がありますので、注意が必要です。

予防・治療

転倒などの軽微な外傷で四肢麻痺(脊髄損傷)になる可能性が存在しますので、転倒しないように注意します。
一般的に日常生活に支障があるような手指巧緻運動障害が見られる、階段昇降に手すりが必要となれば、手術的治療が選択されます。

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